2015年6月2日火曜日

『情婦』元祖どんでん返し法廷ミステリー

オススメ映画とか名作ベスト100などに必ずといっていいくらい登場する『情婦』。
監督はビリーワイルダーでマレーネ・ディートリッヒとくれば大好物なはずなのに何故かいままで観ていなかった。

原作はミステリーの女王アガサ・クリスティ。
原題は「WITNESS FOR THE PROSECUTION」(検察側の証言)である。
DVDの写真のディートリッヒが、ぱっくり割れたドレスから美しいおみ足をさらしてベットに横たわる写真と相まって、女性はなかなか手にとりにくいのだが、イメージと内容は違っていた。
これほど、邦題と内容がかけはなれた映画もめずらしい。

確かに『情婦』の方がキャッチーではあるけれど・・・。

あらすじは老齢の敏腕弁護士が金持ちの未亡人を殺した容疑をかけられた男レナード(タイロン・パワー)の弁護をすることになる。
ところが、妻のクリスティーネ(マレーネ・ディートリッヒ)は弁護側の証人でなく検察側の証人として法廷に立つ。
そのクリスティーネの口から意外な証言が。
果たしてレナードは無罪か有罪か・・・だけでは終わらない。
ラストに二転三転のどんでん返しが待っている。
法廷のどんでん返しだけだなく人間関係のどんでん返しもあり、ラストまでどんどん引き込まれ、終わった後にやられたーという感じだ。

白黒の映像で、セリフも時代を感じさせるけれど、弁護士と口うるさい看護婦との軽妙でユーモアのあるやりとりや気の利いたセリフは、さすが巧者ビリー・ワイルダーだ。
50代になっていたディートリッヒの大人の女の魅力もたっぷり。

劇中で、レナードが映画館で映画を観ているシーンがあるが、煙草を吸いながら映画を観ているのには驚いた。
今では考えられないが、そういう時代背景も含めて楽しめる。