2016年2月29日月曜日

「自分の持ち物を3分の1にする」ということ

わたしの母は72歳で亡くなった。
心筋梗塞で突然の事だった。
姉の家族たちと敬老の日の食事をした翌日のことだった。
同じ年の春に父ががん闘病の末なくなり、とても落ち込んではいたが、そんなに急になくなるなんて誰も思っていなかった。

母が亡くなったあと驚いたことがある。
まるで、死ぬことを予感していたかのように、必要最小限のものだけを残して、ほとんどのものをかたづけてあったことだ。

洋服、着物、貴重品、食器、書類。
亡くなった後の手続きに必要なものは金庫に整理してしまってあった。
そのおかげで遺品整理にほとんど困らなかった。

そういえば子どもたちが独立したり結婚してみんな家を出たころから、母が家のものを片付け始めたことを、人生の折り返しの年齢になり、残りの人生のことを考えたときに思い出した。

実家に帰るたびに、たくさんあった食器や大きな鍋がなくなっていたり、着物をくれたり、貴金属をくれたりするようになった。
「もう夫婦ふたりでそんなに物はいらないのよ。」といって新しいものを買わなくなった。

家はいつもきれいに片付いて、空気がきれいに感じる家だった。
不思議なもので、いつのまにか子どもは親と同じことをする。

わたしも、子どもが巣立ってからいつ死んでも子どもが困らないように、身の回りのものをかたづけておきたいと考えるようになった。

だが、いざ手をつけようとするとななかなか進まない。
そんな時、本屋さんで手にとった有元葉子さんの本。『毎日すること。ときどきすること。』の中に「ものを3分の1に減らしながら暮らす」という文があった。

ときどき必ずすることの中に、有本葉子さんの整理法が紹介してあり、物を「使う」「使わない」「使うかどうかわからない」の3つにわけ、「使うかどうかわからないもの」はとっておかないで「使わない」ほうに分けることがポイントだ。

今まで読んだ整理や断捨離の本は、「わからないもの」は一定期間様子を見て捨てる考え方がほとんどだったので、わたしにとって目からうろこだ。
こうすると、物が3分の1に減るわけだ。


それから、かたづけはいっぺんにやらないで、日々の暮らしの中の30分、1時間の空き時間を「冷蔵庫の1段だけの整理」とか「戸棚を30分だけ整理」とか限定してやる方法もスッキリをキープするコツのようだ。


本当に必要なもの、お気に入りのものだけに囲まれてスッキリと暮らしていた母のような暮らしを目指して、これから毎日すること。ときどきすること。を取り入れてみようと思う。



 
毎日すること。ときどきすること。 [ 有元葉子 ]