派手なピンクのスーツと赤い帽子に赤い靴。
葉巻をくわえたアフリカの男性の写真が表紙の本が目に飛び込んできた。
『SAPEURS the Gentlemen of Bacongo』 サプール バコンゴの紳士たち
サプールは、アフリカ・コンゴの首都ブラザビル郊外にあるバコンゴ地区を拠点におしゃれに全てをささげる男たちのことだ。
そんな彼らをイタリア人写真家のダニエーレ・タマーニが取材し、サプールのファッションにインスパイアデザイナーのポール・スミスも寄稿している本の日本語版が今年出版され話題になっている。
その生き方は日本国内でもNHKのドキュメンタリーでとりあげられ反響をよんでいる。
決して裕福ではないが、高価なブランドの一着を手に入れるためにお金を貯め、時間をかけてエレガンスであることの誇りと情熱はハンパない。
ファッションだけでない本物のエレガンスを身につけるため、教養を磨き、洗練された立ち振る舞いや礼儀正しさを会得しようとする彼らは、地元住民からも尊敬されている。
彼らのファッションは生き様なのだ。
舗装されていない土の道や、ごみで埋め尽くされた場所を背景にパリコレのモデルのような一流のファッションを身に着けた彼らの写真は、まるで雑誌の撮影のために撮られた現実味のないものに感じるが、生活が貧しくとも身だしなみを整え心身ともにエレガンスであろうとする情熱と誇りが見るものに感銘を与えているのかも知れない。
彼らをみていると、比べるのはおこがましいが、かつて雑誌で見たアイビールックを着たくて少ないお小遣いをため、一生懸命服や靴を買い、身だしなみに情熱を傾け、本を読み音楽を聴き、映画を観ていた頃の自分の楽しかった頃の気持ちがよみがえってきた。