犬と暮らしていると、犬はちゃんと人間の感情をその表情から読み取り、人の心をわかっていることを知っていますが、犬は人間のウソがわかるのでしょうか?
ウソをつかれたことを覚えていたり、ウソをつかれても信じて疑わないでいるのでしょうか?
動物病院のメールマガジンに興味深い記事があった。
『Animal Cognition』に発表された内容によると、京都大学の心理学教室で犬の認知研究を行っている研究者らにより、犬と暮らす人々の普段の気付きを実験により検証するような研究が行われた。
【実験の内容と結果】
<実験1>
24頭の犬を対象に指さし実験
不透明な2つの容器。 片方にだけ食べ物がある。
■第1段階
食べ物の入った容器を指さし、犬にそちらに行くように促す。
■第2段階
犬に片方に食べ物があり、片方にないことを示してから、犬を放す前に食べ物のない方に行くように指さした。
■第3段階
第1段階と同じ手順で、食べ物の入った方の容器を指さした。
■結果
第1段階では、犬は指さした方に駆け寄って行ったのに、第3段階では8%の犬しか指さした方へ行かなかった。
<実験2>
新しく26頭の犬が参加
実験1と同じように第1段階(正しい指さし)と第2段階(ウソの指さし)をした後、第3段階(正しい指さし)で指さす人を犬が初めて会う別の人に交替した。
■結果
犬は第3段階では第1段階と同じように、指さしされた方(正しい指さし)の容器へと駆け寄って行った。
■実験の結果からわかったこと
・犬は特定の人間のことを信頼できるかどうか、自らの経験を踏まえて判断する。
・犬は人が考えているよりも洗練された社会的知能を持つ。
実験結果について研究を行った高岡祥子さんは、犬がこれほどすぐに人への信頼性の価値を下げてしまうことに驚いたと言っている。
犬はウソをつかれたことも、ウソをついた人もちゃんと覚えていて、その人を信用するかどうかの判断基準にしているということですね。
人間と同じようにきちんと人格(犬格?)を尊重することは信頼関係を築くためにあたりまえのことで、高岡祥子さんはこの結果は犬と人と共存してきた長い歴史の中で選択的に進化してきたものだとしている。