2016年3月24日木曜日

『下鴨茶寮』の粉しょうゆストーリー

アナザースカイというテレビ番組を何気なく見ていた。
その回のゲストが小山薫堂さんだった。
小山薫堂のアナザースカイはニューヨーク。
若かりし頃、初めて訪れた場所がニューヨークで、32年後彼は下鴨茶寮の主人としてその地に立っていた。

3年前に先代の下鴨茶寮の店主から経営を引き継いだ小山薫堂さんは、ニューヨークで「bouley」というミシェランで星を獲得しているフランス料理の名店と、一夜限りのコラボレーションディナーをするために乗り込んできた。


番組で驚いたのは下鴨茶寮の料理長明石尚宏が31歳という若さであったことだ。
この料理長があの「粉しょうゆ」を生み出した人なんだとちょっと感動した。

「粉しょうゆ」は下鴨茶寮が新しく開発した調味料で、しょう油をフリーズドライしたものだ。
使用しているしょう油は250年の歴史を持つ香川県の老舗「かめびし屋」の3年熟成物で、旨みを凝縮して粉末化したものに柚子と一味を絶妙にブレンドしたのは料理長のアイデアだ。


この若き料理長を抜擢したのも小山薫堂さんだ。

彼は、テレビの世界では、「料理の鉄人」や「カノッサの屈辱」といった名番組を手がけ、脚本を手がけた映画「おくりびと」はアカデミー賞外国語映画賞を受賞している。

わたしは特に「カノッサの屈辱」と「トリセツ」がとても好きだった。
言葉の選び方とか、何かについて深く掘り下げる中に、単に知識欲を満たすだけでなくユーモアがあるところにセンスを感じる。

粉しょうゆの開発のきっかけも小山薫堂さんが、てんぷらの衣の食感を損なわないための調味料の開発を料理長に提案したという話だ。

舞台が老舗料亭に変わっても、彼の「企画は全てオーダーメード」という考え方が、クライアントのニーズを敏感に察して伝統的なものを残しつつ新しい風を巧く吹き込んでいると感じる。

京都の老舗料亭がなぜ東京の脚本家に店を託したのかとても意外に思った人は少なくないと思う。

井上章一さんの「京都ぎらい」の中に書いてある京都人は、大阪生まれで京都の学校に通っていたことのあるわたしも、「へー京都ってほんまいやらしいなー。」と感じ入ったほど同じ京都人同士でも見下して疎外する気位の高いお人たちだ。

下鴨茶寮の先代のご主人は、よっぽど小山薫動さんのお人柄と知識と才能に惚れこみはったに違いない。


わたしも毎週ではないが、日曜日に車で出かけるときは毎回FM東京の小山薫堂さんの「じゃぱもん」を聴いているほど小山薫動さんのファンだ。

「じゃぱもん」は日本全国のいいものを紹介する番組だが、紹介されるもののそれぞれのストーリーが興味深く、そこに旅したくなるのがいい。




これが話題の「下鴨茶寮の粉しょうゆ」
肉料理、魚料理、刺身に、卵料理、焼き野菜によし。バニラアイスにも。


粉なのでお弁当や旅行にもって行きやすい。
まだまだ話のネタになるし、美味しいもの好きの人にあげると喜ばれますよ。


下鴨茶寮