2015年12月20日日曜日

【シネマ散歩】『アパートの鍵貸します』のシャーリー・マックレーンがかわいい

最近のジェットーコースターのようにめまぐるしく、アクションばかりの映画に疲れて古い映画をみるとしみじみとした幸福感が残る。

そんな古い映画の中でとびきり好きな一本が『アパートの鍵貸します』だ。
原題の『The Apartment』よりもコメディタッチで内容にマッチした邦題でうまい。

監督のビリー・ワイルダーらしく意外なストーリー展開と、ユーモアとペーソスにとんだセリフ、キャストも魅力的な作品だ。

しがない保険会社の平社員のバクスター(ジャック・レモン)が思いを寄せているのはエレベーターガールンのフラン(シャーリー・マックレーン)。

この若いときのマックレーンがショートカットが似合うとてもキュートな女性で、上司と不倫している不道徳な嫌悪感を抱かせない。
むしろ悪い男の餌食になったと同情をするくらいの純真なイメージを持たせる。
フランを演じた女優が色気ムンムンのお色気女優だと、バクスターが恋心を抱くのはきっと不自然に感じただろう。

ストーリーは、大手保険会社に勤めるサラリーマンのバクスターは、頼まれるといやと言えない。
上司の課長4人の愛人を連れ込むホテル代わりに、自分のアパートの部屋を貸している。

その見返りに、会社で2番目に若い管理職に出世するバクスターだが、今度は部長からもアパートの部屋を貸すように迫られる。

そんなある日ひょんなことから部長の愛人が、自分が好きなフランだと知りショックを受けやけ酒を飲んだ店で知り合った女性を連れて帰宅する。

そして、女性遍歴を同僚に聞かされたことで部長を責めて言い争い冷たく突き放され、失意のうちに睡眠薬を飲んで意識を失っているフランを見つける。

上司たちが逢引をしている物音を、バクスターが入れ替わり立ち代り女を連れ込んでいると誤解している隣人の医者に助けを求めて一命を取り留める。
医者はバクスターが原因でフランが睡眠薬を飲んだと思っている、

フランの名誉にために何も言わないバクスター。
自分の気持ちを隠してかいがいしく傷心のフランを慰め看病する。

バクスターがフランのために作るスパゲティーをテニスラケットで湯きりするシーンは有名だ。

フランは結局、家に連れ戻され離婚した部長と寄りを戻すことになる。
再び、出世をちらつかせフランとの逢引のために部長にアパートの鍵を渡すように迫られたバクスターはフランへの気持ちが断ち切れず、出世も捨て会社もやめて、大晦日の夜部屋を出て行く準備をしている。

そのことを知ったフランは、バクスターのやさしさと愛情に気づき、部長の元を去りバクスターのアパートの部屋まで走っていく。

バクスターの部屋の前に来ると「バーン」という大きな音がする。
フランはバクスターの部屋から拳銃の音がしたと思い必死でドアをたたく。
ところが、部屋から出たきたバクスターの手にはシャンパンが・・・

ラストはキスするでもなく、抱き合うでもなくただ黙ってトランプのカードを配る二人の笑顔が印象的で心に残る。

なんでも思い通りにしようとする部長に見切りをつけ、若い二人が結ばれる結末は最高にハッピーだ。