2015年6月20日土曜日

オキシコドンとセレブ

トヨタ自動車の女性常務役員が麻薬取締取締法違反の容疑で逮捕されたニュースが流れた。

麻薬成分「オキシコドン」の錠剤を57錠、国際宅配便でアメリカから密輸した容疑で、宅配便の宛て先は彼女が滞在していた六本木のホテルになっていた。

彼女はアメリカのゼネラル・モータや大手飲料メーカーのペプシコの副社長を務めるなど、華々しいキャリアの持ち主だ。

宅配便の小包は、成田空港の職員に発見されており、中身はネックレスと申告されていた。
おもちゃのようなペンダントの下に、むき出しのオキシコドン39錠と袋に小分けにした錠剤が入っていた。

『オキシコドン」はモルヒネなどと同じ鎮痛作用のある医療用麻薬で、がんの痛み止めなどに使用されることが多く、処方箋なしでは入手できない。

薬剤師が「がんでありながら仕事をこなしている人なら持っていることは不思議ではない」とインタビューに答えていた。

普通の痛み止めが効かない状態になってくる末期のがん患者に処方することが多いらしい。

アヘンに含まれる成分から作られるので、アメリカでは麻薬代わりに乱用者が増加している。
乱用目的で手に入れ、オーバードーズ(過剰摂取)事故や死亡事故で救急搬送されるケースが多発して社会問題になっている。

乱用、依存、中毒という経過をたどる常用すると危険な薬物なのだ。

ライブドアニュースでは、エルビス・プレスリーやマイケル・ジャクソンが常用していたとして名前を挙げている。

また、『ダークナイト』でバットマンの宿敵ジョーカーを演じたヒース・レジャーは28歳で薬物併用摂取による急性薬物中毒で急逝しているが、その中にオキシコドンが含まれていた。
ヒース・レジャーは『ダークナイト』の完成を待たず亡くなったが、死後アカデミー助演男優賞を受賞している。

彼女は「麻薬を輸入したとは思っていない」と否認しているので、疾患があったのか、それとも精神的なプレッシャーから必要だったのか。

まだ真相がわからないので、麻薬常用者と断定できない。

映画のシーンなどで、アメリカ人が何かにつけ洗面台の棚から睡眠薬や精神安定剤を取り出して飲んでいるのを目にするが、薬に対する抵抗があまりないように感じる。
しかし、末期がんに使うほどの高価で強い薬を57錠も輸入するのは尋常でない。

この報道をきっかけに、日本で乱用目的に手に入れようとする若者がいないことを願う。

【追記】 2015年7月9日

トヨタ自動車の前常務役員ジュリー・ハンプさん(6月30日付で辞任)は、拘留期限の8日午後釈放された。

東京地検はに悪質性が低く、役員の辞任で社会的制裁を受けていることなどを考慮し、不起訴(執行猶予)とした。